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"LIBBYLIT 2009"


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10月22日ベルギーのナミュール児童書見本市にて表彰されました。
表彰状と、これが副賞のベルギー名物小便小僧、チョコレート製です。さすが……




LIBBYLIT賞には4つのカテゴリーがあり、以下のようなものですが
1. ベルギーで出版された最優秀小説
2. ベルギーで出版された最優秀絵本
3. フランス語による最優秀小説
4. フランス語による最優秀絵本
このなかの4番目をいただきました。
今年はその他に特別賞が加わり、このような受賞作が並びました。(pdf)
このプレスリリースの中で拙著が評されている部分を以下に訳しました。

ベルギーにおける仏語絵本最優秀賞
"Tendre est la Mort" (邦題『わたしの優しい死神』) KINOTORIKO作 SARBACANE刊

  ある少女が帰宅して鎧を脱ぐ。彼女はもう、うんざりしている。「疲れた……今日こそ」そしてページをめくると「死にます。」いかにも直球の出だしだ。続いて少女と、彼女をさとそうとする死神の会話がはじまる。死神「まだ、ダメだって!」しかしながら少女の反論は説得力があり、自殺を少しでも考えたことのある人すべてに伝わるものだ。主題はデリケートでぞっとするものだ、なぜなら私たちの「存在理由」をあらためて問うものだから……にもかかわらず、主題は上手に導かれ、軽率に扱われることなく、最後に静かに落ち着いて終わる、「わたしの優しい死神」のタイトルどおりに。ここに登場する死神はまさに象徴的な存在で、少女の会話の相手である彼は、彼女自身の中のもろもろの悪魔を表している。悪魔たちと会話することは自分と会話することであり、自身の声に耳を傾けることであり、自らの葛藤に折り合いを付けそれを鎮めることなのだ。「君は孤独じゃないんだ。ぼくがいつもそばにいる」、死神はやがて励ましの言葉をかける。
  余分なものを排した、漫画の美しさをもつグラフィカルな小説であり、と同時にポサダの「死の舞踏」を思い出させ、また他の強いイメージへと読者を導きもする、たとえば「オフィーリア」が暗い水に流されていくあの場面など。また読者によってはティム・バートンやエミリー・ザ・ストレンジを思いだすだろう......たしかに、これらすべてのものが少しずつこの本に見てとれ、いわばこだまのように響いている。自殺への誘導には納得しかねても、他はよく理解できるだろう。15才以上の悩める若者の心の深いところにとどくことを保証する。そして間違いなく、より年上の者たちにとっても。 (L.udovic Flamant)

また、ベルギーの新聞記者L.B.氏によるインタヴューも受けました。
その内容の一部がここに紹介されています。この文も訳してみました。
lalibre.be インタヴュー
L.B. 02/11/2009掲載

  絵本、イラストレーションによる短編小説、あるいは漫画、"Tendre est la Mort"という本は、それらのジャンルの間に独自の道をきりひらいた。日本人きのとりこによるグラフィカルで哲学的な想像上の物語は、テキストにおいても、イラストレーションにおいても、レイアウトにおいても、細かいところに至るまで他のどの本とも似ておらず、まったく独特の作風だと、日本でもまた世界でも認められることだろう。
  日本の出版社とフランスのサルバカン社(とても興味深い小さな出版社であるが)と共同で出版されているこの本は、おどろくべき繊細さで「自殺」について、「死」あるいは視点の置きかたによっては「生」について語っている。日本人には、私たちが見落とすような規範がそこに見てとれるのであろうが、逆に私たちの目をひくこともあり、たとえば、少女が死神の扉をたたく前にシャワーを浴びる場面などだ。実は東洋における清めの儀式に通ずるのだが、ここで(西洋)では馴染みがない。
  奇しくも、作者きのとりこがベルギーを訪れて、LIBBYLIT賞を受け取りにきた。ナミュール児童図書見本市にて、IBBYのベルギー支部が授与する賞であるが、この本に相応しく、また将来的にも幸運をもたらすものだろう。というのは実際、この賞はしばしば、オリジナリティーのある革新的な作品を発掘し世に出す狙いがあるからだ。会長のリュック・バティュー氏は、"Tendre est la Mort" は、若者の死亡原因のトップが常に自殺であるような我が国の、すべての若者の手に渡るべきだ、と語る。

L.B.-----黒と白の画面の中で、とぎすまされた会話が若い女性と死神の間で交わされます。若者の自殺についての本ですが、ずいぶん重いテーマでは?

K.-----いえ、そんなことはありません。死後の世界についてはよく考えます。私にとっては、生と死はとても近いものです。ふたつの世界の間にひとつの扉があり、死はその扉のすぐ後ろにあるのです。死は身近にあり、私たちの中に存在するものです。

L.B.-----死についてよく考えると言いましたが、するとこれは自伝的な本ですか?

K.-----そうですね、私自身のことです。でも必ずしも自殺そのものについてのことではありません。少なくとも日本ではそのように受け取られていないでしょう。私はこの少女(あるいは生)であり、死神(死)でもあるのです。

L.B.-----生きることに疲れた若者に、何か言うとしたら?

K.-----この本は問いを発しますが、そこに答えはありません。本に描いているとおり、そのコには「少し待て、翌日まで待て」と言い、時間を稼ぎます。死神は(今のところまだ)そのコを望んでおらず、常に生へと送り返すのです。

KINOTORIKO "Tendre est la Mort" editions Sarbacane
128ページ 約10ユーロ 対象年齢10才以上



copyright: 2009 Kinotoriko