イラストレーション・絵本・展示などの御案内

2012年9月アーカイブ

『なないろえほん 』完売近づく

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 『なないろえほん』を製作したのは2002年、自費で350部ほど作りました。書店やギャラリーに置いていただいたり、展覧会・イベントなどで販売しつつ10年目の今年、販売用の残部数は10冊ほどになりました。これまでにご購入いただいた方、ありがとうございました。10 冊のうちの6冊を現在、ブラティスラヴァ世界絵本原画展を開催している千葉市美術館のミュージアム・ショップにて販売しております。これで一般販売は終了となります。(残り4冊はとりあえず手元にキープ、そのほかに保管用のものを何冊かキープしてあるという状況) 私にとってはその後の活動への分岐点となる作品だったので、感慨深いものがあります。

 2001年の4月のある日、自分のサイトのコンテンツに、グラフィックでなにか遊べるページを作りたいと思ったのがそもそものきっかけ。穴を開けた色面のレイヤーを何枚か用意し、クリックでそのレイヤーの重ね方がランダムに変わるようにして、予期しないパターンを作る。そんなイメージをいだきつつ机の上で色紙に穴をあけて試行錯誤している中、「だったら紙でいいのでは?プログラマーさんに相談しなくていいし!」と我にかえったのです。その後はコンセプトを組み立てて、怒濤の手作業でダミーを1ヶ月余で完成させました。


画像: 上は紺+水色+赤の型抜き色紙に、ネコのシルエットを型抜きした白い紙を、下は、黄+赤+黄緑+橙の型抜き色紙に、「傘もつ少女」を型抜きした白い紙を重ねている。天地左右にある二ツ穴はバインダーに納めるためのもの。


ブラティスラヴァ展 見どころ

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 ブラティスラヴァ世界絵本原画展は、スロヴァキアの首都ブラティスラヴァにて2年ごとに開催される、世界規模の絵本原画のコンクールです(詳細は上記リンク先で)。日本での巡回展では「特別展示」として「日本のしかけ絵本」の部が設けられており、そこに拙著『なないろえほん』も展示されております。10/21(日)まで、千葉市美術館にて開催中。すでに展示期間を終えた、うらわ美術館での展示を見てきていくつか思ったことを、とても個人的な視点で書きます。

 今回のコンクールでグランプリを受賞されたチョ・ウンヨン氏(韓国)の作品『走れ、トト!/ La Course / Dal Ryu Toto ! 』は幼い子の目線で競馬場を描いたもの。驚いたのは、各場面で異なる技法を用いていること。ページ毎にまるで違う作家が描いているようで、同じ描き手としては「勇気あるなぁ」と。読み手としてはちょっと落ち着かないかな、という印象だが、この大胆さ奔放さが評価されたようだ。たしかに全体の中で「目を見張る」作品。まずフランスで出版、逆輸入されて韓国版が出たというのも興味深い。

 金のりんご賞を受けたジャニク・コアト氏(フランス) の『わたしのカバ / Mon Hippopotame 』は「大きい/小さい」「はっきりした/ぼやけた」などの対になる概念をひたすら「(どこかトボケたふうの)カバ」のグラフィックで表現している。リンク先は出版社のサイトだけれど、これだと良さがわかりにくいのが残念。そのシンプルさと判型の大きさ(30cm四方くらい)、紙の厚さがイイ!親子で一緒に本をのぞきながら、読んで触って楽しむ様子が目に浮かぶ。

 やはり金のりんご賞のユ・ジュウヨン氏(韓国)の『ある日 / Un Jour / Un nal 』は水墨画の陰影に朱のアクセント(=小鳥)が効いている詩情ゆたかな作品。描画の技術に唸る。これもフランス版先行で、のちに韓国版が出ている。

7月のご挨拶、保存

7月、星に願いを


canarino.jpg 先月はいわゆる「所用」であっという間に過ぎ去ってしまいました。制作時間を確保するのは思いのほか難しい。自主企画の絵本は年に1~2作品のペースで作りたい。作ったうえは出版を目指して、できるだけ多くの方に見ていただく努力をしなくてはならないのだけど、そういう時間もできれば次作の制作に充てたかったりして、時間や体力や精神力の配分が難しいのです。

 そんなわけで、作って展覧会などで発表したあと、1年以内に本として世に出なかったものは放置したままになりやすいのですが、中にはふと再プロモートしたいな、というものが出てきます ---『 Il Panorama Parlato ことばのけしき 』をあらためて紹介します。イタリア語のABC本なので、必要性からいえば限られてしまいそうだけど、本にできるとよいな。

 今回はじめて全篇をサイトに公開します。もちろんテキストも自分で書いています。左の画像は "C"の頭韻詩。 " Canarino canterino contento del collarino "「歌のじょうずなカナリア小さな首輪がお気に入り」

 『うらゆきひめ』はまだ作ってから間がないので相変わらずイチオシ中ですよ。もちろん、イラストレーションのお仕事も随時受付中です。


 再稼働を決めたひとたちは、本当にそれで良かったと思っている?

たしかにエネルギー政策の急転換は危険をともなうだろう、でも、3.11のあの惨事、あの危険に比べたら!責任の取れる範囲の、他の方法をとことん考えてくれただろうか。「無い中でやりくりする」ための説得や調査や実践のための準備を、サボってはいないだろうか。それをすべき立場の人たち。サボっていると、感性はどんどん鈍くなる。そうして見過ごしてきた40年後の、あれは事故だったのだから。思えば私も無知で鈍感だった。事故を忘れず関心を持ち続けていくことが、務めと思っている。どうか原子力に頼らない社会が、はやく実現しますように。


  きのとりこ/ kinotoriko

2012. 7.7.


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