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『なないろえほん 』完売近づく

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 『なないろえほん』を製作したのは2002年、自費で350部ほど作りました。書店やギャラリーに置いていただいたり、展覧会・イベントなどで販売しつつ10年目の今年、販売用の残部数は10冊ほどになりました。これまでにご購入いただいた方、ありがとうございました。10 冊のうちの6冊を現在、ブラティスラヴァ世界絵本原画展を開催している千葉市美術館のミュージアム・ショップにて販売しております。これで一般販売は終了となります。(残り4冊はとりあえず手元にキープ、そのほかに保管用のものを何冊かキープしてあるという状況) 私にとってはその後の活動への分岐点となる作品だったので、感慨深いものがあります。

 2001年の4月のある日、自分のサイトのコンテンツに、グラフィックでなにか遊べるページを作りたいと思ったのがそもそものきっかけ。穴を開けた色面のレイヤーを何枚か用意し、クリックでそのレイヤーの重ね方がランダムに変わるようにして、予期しないパターンを作る。そんなイメージをいだきつつ机の上で色紙に穴をあけて試行錯誤している中、「だったら紙でいいのでは?プログラマーさんに相談しなくていいし!」と我にかえったのです。その後はコンセプトを組み立てて、怒濤の手作業でダミーを1ヶ月余で完成させました。


画像: 上は紺+水色+赤の型抜き色紙に、ネコのシルエットを型抜きした白い紙を、下は、黄+赤+黄緑+橙の型抜き色紙に、「傘もつ少女」を型抜きした白い紙を重ねている。天地左右にある二ツ穴はバインダーに納めるためのもの。


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 さて、できたものをどうしよう......最初は自費で製作するなんて考えてもいなかったので、いくつかの出版社に売り込みました。日本で「こういうのは海外にいくと実現できるかも」というアドバイスを受け、行った先のイギリスで「あなたは野心的すぎる」という有り難い言葉をいただき、イタリアで「来年のボローニャに来なさい」と言われました。どの出版社でも「とてもイイと思うけど、コストがかかりすぎる」というのが答えでした。

 当初はその翌年のボローニャ国際絵本見本市に売り込むまでそのダミーを寝かせておこうと考えたのですが、その時点でまだ10ヶ月先のこと。心が急き、待つことができずに自主製作に踏み切りました。そのとき出費できた約200万円で出来た部数が350部ほど。一冊あたりの原価が¥6000弱です(+荷造り・送料等の諸経費)。これを¥6500で販売しているって実はすごいお得でしょ!? というのも、在庫をずっと持っているほうが苦痛だし、なにより最初の作品ですからお披露目価格だったのです。

上は「傘もつ少女」のバリエーション。下はネコのバリエーション。紙の重ねかたを変えると、さまざまな表情が。



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 結局、2002年のボローニャには完成品を持って、いろいろな出版社をめぐりました。先のイタリアの出版社(Corraini)はOPLA (アーティストによる子どものための本の図書館) のコレクションに加えることを推薦してくれ、あるフランスの出版社(Grandir) は60部の注文をしてくれました。作ってよかった、宿に帰ってからジワッと涙がでたのを思い出します。その後『なないろえほん』は2003年のボローニャ国際絵本原画展入選し、自主企画第一号の絵本は私にとって記念すべき作品となりました。


 続けてどんどん絵本を作ろうとは当時も考えていませんでしたが、ある瞬間に「あ、こういうのどうだろう」と思いつくと、それをカタチにせずにはいられなくなり今に至っています。これからも試行錯誤を続け、チャレンジし続けたいと思っています。