イラストレーション・絵本・展示などの御案内

あの日の夕焼け

sunset.jpg


いま思うと、生きる意味についていちばん悩んでいたのは小学生の頃だったような気がする。自分が「まだいなかった」世界から、そう時間が経っていない年ごろだったから、かも知れない。"社会(=学校のクラス)" のいびつさに、ほとほとイヤになっていた。

「明日があるさ!」と、いかにも未来に希望があるかのような、励まし方があるけれど、「その明日が来るのがコワイんだ!」と思いながら、ひとり下校中だったある日のこと。家の近くまで来て坂の上から西を見ると、夕焼けが空いっぱい異様にギラついていた。オレンジ色の太陽がどんどん西に沈んでいくのをながめながら、ふと思う。「今ここで私が死んだら......」と。「あの太陽が一周して東の空からあらわれるのを見ることもないんだナ......」 そう思うと、急になんだか、いたたまれない気持ちになった。自分のいない世界でまわりつづける太陽。それ、なんか、ズルい? いやなんだろう、ちがうちがう。「私が死んだら......」と考えたのも、すぐ取り消したのも、けっこうな心の動揺のはずなんだけど......
圧倒的な太陽が、小さな心の動きを空の色ごとぐいぐい引き込んで、明日へ持っていった。負けた。
いつものように「ただいま」と、家の扉を開けた。
今も、あの日の太陽を、見つづけているんだな。