作品をテーマ別に見ることができます。旧サイトhttp://www.kinotori.com/selected-works.htmlも併せてご覧ください。

Il Panorama Parlato ふたたび

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 Il Panorama Parlato (イル・パノラマ・パルラート)はイタリア語で、「パノラマ=パノラマ・景色」「Parlato=話された・語られた」という意味。日本語タイトルは「ことばのけしき」としました。たとえば、一番最初につくったこの頭韻詩(右の画像)は " Il Dragone domato dimenticato dal destino "、冒頭の定冠詞以外、使われている言葉すべてのアタマが "D" からはじまっています。日本語は「飼い慣らされドラゴン運命に見放され」。


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 はじめて発表したのは2003年、書店での展示(左の画像はそのときのポスター)と、それに合わせて絵巻物をつくりました。今回、A~Zまでの頭韻詩+イラストレーション、ここに全て掲載(註1)しました。横スクロールで絵巻風にご覧ください。 今回は絵巻物というカタチではなく、普及版の本を出せたらいいなと思っています。


註1: このページ、MT5での横スクロールのはめ込み方よく分からず、恥ずかしながら勉強不足のまま旧式のhtmlで公開しております; ;


 この本をつくるキッカケとなったのは、2002年のイタリア旅行でした。行く前に参考書とCDで少しのイタリア語を予習したものの、ボローニャ展(註2)に自作を売り込みに行くはじめての旅はなかなかに苛酷で、身も心も疲れ切っていました。そんな折、宿の隣のバールでカプチーノを飲みながら、ふと目の前のウィンドウを見るとそこには " Cioccolatini Finissimi Assortiti "と書かれた箱。口に出して読んでみる「チョッコラティーニ・フィニッシーミ・アッソルティーティ」。くりかえし口ずさむと、心地よいそのリズムはなんだか楽しくなる魔法のことばみたいで、それ以後は凹みそうになるたびこのことばを唱えていたのでした。意味は 「美味しいチョコ詰合せ」←なんの工夫もない "そのまんま" なんですけれど!


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 帰国して習いはじめたイタリア語はとても楽しく、語尾が自然と韻を踏む文法上の特質もあって、これは初心者の私でも詩ができそうだ!とポケット辞書まるごと一冊に目をとおし、その中から言葉を拾って出来上がったのがこの作品です。あらかじめ描くものを考えず、音やリズム優先で組み合わせた言葉から、ビジュアルが立ち上がってくるのを掬う。それまでに制作した頭韻詩作品、日本語の『あいうえおえかき』、英語のABCのシリーズ(web版1995・紙版2003・e-book版2012) と同じ手法です。


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 文字をイラストレーションのなかに絡ませ、それを景色みたいに配置する(だからABC順ではない)ことで、イタリア語の楽しさをパノラミックに表現したいと思いました。この喜びが見る人にも伝わればいいと願いつつ。この作品が2004年のボローニャ展に入選し、作品を気にってくれた審査員のひとりコライーニさんの出版社から、(いずれ)本を出しましょう、ウチのギャラリーで展示しましょうとか言われて作品を置いてきたままなのだけど、あれはどうなったのかなぁ......。

左の写真は2004年の審査員によるトークショー、Il Panorama Parlato について語っているところ。


 あれから8年も経ったとは。イタリア語の学習もまだ続いています。日本で、イタリアで、出版をめざしてまた動き出したところです。心あたりの方、御連絡をお待ちしています。


註2: Bologna Children's Book Fair =ボローニャ国際児童図書見本市。ここでは毎年、出版社同士の版権の売買などが行われるのですが、その会場では前年に募集〜審査された絵本のためのイラストレーション・コンペの入選作が展示されます。これが「ボローニャ国際絵本原画展」と呼ばれるもので、毎年板橋区立美術館その他で巡回展が開催されます。(現在開催中8/12まで)

 また、この会場は全世界から絵本をつくりたいイラストレーターの、自作の売り込の場にもなっており、人気出版社には長蛇の列も。初めて訪れたときは、会場の広さと、世界のイラストレーターの熱気に気圧されて立ち眩みの連続でした。